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[KOREA MARITIME NEWS] 【コラム】韓国海運、二極化に向き合い

2021-02-26

 

127日、いきなりHMMが売却されるとのうわさがあった。引受予定の社名まで

具体的に言及された。「HMMの最大株主である韓国産業銀行がHMM

民営化案を政府に報告した。」との政府関係者の話がうわさの発信元だった。

結果的には、そのうわさは事実ではない。産業銀行から「それは全く事実ではない」と

拒否されたが、そういったうわさが出た背景は注目すべきだ。それほど、

HMMの経営状況が改善された傍証でもある。

 

実際にHMMは復活したばかり。昨年2四半期には21四半期ぶりに黒字を達成し、

年間営業利益も9年ぶりの黒字となった。グローバル海運会社との競合で負けない

ように船舶を大量購入した結果だ。船舶が大きくて多ければ、有利になる。2017

13位にとどまったHMMALPHA LINERランクも、船舶を購入して、20208位まで

上がった。今年2月には、世界で最も大きいコンテナ船(24000TEU)で30航海

連続満船も記録した。

 

復活になったのはHMMだけではない。SMラインも昨年140億円の営業利益を

達成したが、これは2016年設立以降、最大実績だ。SMラインはそれをきっかけで

今年下期を目途に、上場するつもりだ。

 

HMMSMラインが復活に成功し、韓国海運業界全体の復活可否も注目されている。

実際に2016年、韓進海運が滅び、落ち込んでいる韓国海運業界がまた改善される

かもしれない期待が出ている。丁度今、海洋水産部は、「今年、海運業界の売上高を、

韓進海運の破綻前の4兆円を回復させる。海運再建5か年計画(2018年‐2022年)

に最善を尽くす。」と発表した。

 

しかし、海洋水産部が、発表通りに成果を出せるのかは不明だ。アジア域内航路を運営

している中堅近海船社の存在が変数となる。海洋水産部の目標を達成する為には、

海運業界売上高の65%を占めている近海船社らの実績を引っ張らなければならないからだ。

 

HMMSMラインとは違って、中堅船社らはまだまだ厳しい日々を過ごしている。

供給過剰によるチッキンゲームが激しく、グローバル大手船社らのシェアもどんどん上がっている

からだ。日韓航路の場合は、船積み上限シーリングにて、船社らの供給を調整していてまだ

よい状況だが、東南アジアや中韓航路ではすでに供給過剰が激しく、大手船社らの

アグレッシブな営業活動でとんでもない状況だ。

 

実際に、アジア域内航路を運営している韓国船社だけで15社もある。決まっているパイを

おいて、数多くの会社が競合しているので、出血競合になり、運航効率も下がる。

15社のうち、アジア域内航路でシェアトップ10に入っているのは、8位のKMTC10位の

SINOKOR2社しかない。しかも、1-2位船社のCOSCOMAERSKシェアの3割に過ぎない。

 

海洋水産部がこんなことを知らないわけではない。昨年、海洋水産部が海運再建計画の

一環として、「K-ALLIANCE」を結成したのは、アジア域内航路を運営している船社らの

競争力を高めるためだった。韓国船社らの海運連合にて効率よく船舶を運営したいのが

骨子だった。K-ALLIANCEは今年2四半期から本格的に出帆する予定だが、すでに難航している。

 

何よりも、K-ALLIANCEに入会した船社が5社しかないとのこと。HMMSMライン・SINOKOR

HEUNG-A LINEPAN OCEAN。残り10社は、入会を申し込んでないが、それには

彼らなりではの理由がある。2017年、K-ALLIANCEと同じ目的で結成した「韓国海運連合KSP

ですでに失敗した前例があるからだ。

 

海運業界の関係者は、「当時KSP15社の船社が意欲をもって参加したが、成果はなし。

重複航路を統合、船舶供給を調整するなど、効率を高める為の改編作業を断行したが、

結果的に、海外船社らにシェアを譲渡した結果となった。」と説明した。

 

◆アジア域内航路の船腹量ランク(単位:TEU

1位)中国 COSCO275609

2位)デンマーク MAERSK LINE269174

3位)台湾 WANHAI LINE154366

4位)台湾 EVERGREEN152853

5位)フランス CMA CGM145727

6位)中国 SITC128190

7位)日本 ONE114406

8位)韓国 KMTC103748

9位)スイス MSC9654

10位)韓国 SINOKOR9646

 

他のある関係者は、「現時点では、勇気もって果敢に改革しないとこの危機から脱却は難しい。

韓国船社らが取り扱っている貨物量を15社が分け持っていけるぐらい多くない。海外船社と

競合しながら、国内船社ともチッキンゲームしている状況なので、4社ぐらいに統合したほうが

効率よい。しかし、それは強制できないので、今のような流れから離れるのは難しいだろう。」と

指摘した。

 

海運再建5か年計画もすでに後半戦に入った。海運業界は前例のない好況になり、

韓国2大船社HMMSMラインも期待以上に成果を出している。政府が海運強国を

目指す素晴らしいビジョンを提示しているのもおかしくはない。しかし、アジア域内航路を

主な舞台としている中堅船社らの復活なしには、半端の夢に過ぎない。


 


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